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▲現存するスチル写真(©KADOKAWA)

『大群獣ネズラ』とは

 『大群獣ネズラ』は「ガメラシリーズ」や「大魔神」以前、1964年に公開が予定された大映特撮怪獣映画の第1弾となるはずだった作品です。

1963年秋に撮影が始まり、「実際の生きたネズミをミニチュアの中に置き、巨大な怪獣に見せかける」という凄まじい方法で撮影されましたが、災難がおきました。

ノミ、ダニの大量発生で大パニック!

 スタッフはガスマスクで撮影するなど対策をとりましたが、近隣住民のクレームにより、保健所が撮影禁止を勧告、ネズラ撮影は中止され、宣伝用のスチル写真と小規模のフィルムを幾つか残したまま映画は幻と消えてしまったのでした。

しかし翌年、大映はネズラの失敗にもめげず新たに怪獣映画を企画し大成功に至りました。それが『大怪獣ガメラ』なのです。

▲人々を襲うネズラ(©KADOKAWA)

新作映画『ネズラ1964

 『ネズラ1964』はそんな『大群獣ネズラ』の製作奮闘記をモチーフに描きます。

特撮に本物のネズミを使用したことでの苦悩や挫折、そして後の『大怪獣ガメラ』制作の奇跡へと繋がる物語です。

 株式会社KADOKAWA(旧・大映)企画協力のもと、1963年から1964年当時の背景を徹底的にリサーチ。『ネズラ』を最後まで諦めなかった、当時の特技監督やスタッフに敬意を払い、この作品を制作することを決意いたしました。

この作品を制作したい理由

 1960年代初頭は、東宝特撮シリーズ全盛期とも呼べるタイミングでありました。

その最中で大映は東宝に負けじと1963年に『大群獣ネズラ』を企画・制作します。

ネズラは幻の作品になってしまいましたが、それをバネに後のガメラシリーズの成功へと繋がりました。

  『ネズラ1964』ではそのような時代背景をベースに、困難な環境の中でも特撮映画を作り上げようとした製作者たちの奮闘を描きます。

 大映は以前にも『宇宙人東京に現る』というSF特撮映画や、円谷英二監督の特撮による『透明人間現わる』『虹男』などの作品を製作した実績がありました。

それだけに、『大群獣ネズラ』の制作は東宝だけが日本の特撮ではないという大映の意地と熱意があったのでしょう。

また『大群獣ネズラ』は、ヒッチコックの『鳥』をヒントとするモンスターパニックものとしての影響も強い内容で、これは東宝巨大怪獣映画とはまた違ったベクトルの作品を企画していました。

もし『大群獣ネズラ』が実現、成功していたら後の怪獣ブームはどうなっていたのでしょうか。

日本の「怪獣もの」「特撮もの」のイメージはもしかしたら今と少し変わっていたのかもしれません。

ここで考えたいのが今日に至る怪獣・特撮という文化を振り返って見たときに『大群獣ネズラ』の「失敗」は果たして本当に失敗だったのかという点です。

 ネズラがあったからこそ人気怪獣のガメラは生まれました。

 それ以降、各社が様々な怪獣映画を制作し、その熱狂はテレビや書籍など媒体を問わない発展を遂げ、怪獣は子供たちを引きつけ席巻しました。

それらの作品が今に至る「怪獣観」を築き上げてきたのです。そこに至るまでには、日の目を見ることのなかった努力や取り組み、企画が山のようにあったことでしょう。

 私たちはそんな熱狂の時代に果敢に立ち向かった『大群獣ネズラ』を「実現しなかった多くの作品、そこに込められた人々の熱意の象徴」として光を当て、映画という表現方法でその製作背景を描き、その後の特撮史に間違いなく影響を与えたネズラの「奇跡」を、『ネズラ1964』を通して描ければと思っています。

【作品情報】

『ネズラ1964(ねずら いちきゅうろくよん)』

予定時間:60分~90分

完成予定時期:2020年12月

総制作費:300万円